<第3章>
ここではまず、健康はモチベーションの土台であり健康が崩れればモチベーションも低下する(ただし健康だから高いモチベーションになると限らない)という考えが示されている。
そして、生産性と健康の両立を目指す理論的基盤として仕事の要求度ー資源モデルが提示されている。仕事の要求度は、身体的、認知的、感情的なものがある。資源の例として、課題の多様性、仕事の裁量権、フィードバック、周囲からのサポートがある。
要求度⇒健康とエネルギー減少⇒組織成果低下、
資源⇒モチベーション⇒組織的成果向上、
という直線関係だけでなく、
要求度が高いと、資源とモチベーションの関係が強まる
資源が高い(多い)と、要求度と「健康エネルルギーの減少」の関係が弱まる(悪影響の緩和)
という、要求度と資源の相補的な関係がある。
そして、ウェルビーイング経営は健康経営と比べ促進効果への注目、ポピュレーションアプローチ、自己管理などの特徴が強調されていること、安全衛生などの部門だけでなく人事や他部門含め全社的問題と捉えるべきことが確認されている。
また、ウェルビーイングの概念として、
1:主観的ウェルビーイング
快楽やハピネス。高い肯定的感情と低い否定的感情、生活満足度で構成される。
2:心理学的ウェルビーイング
人生の意義や可能性に注目したウェルビーイング
3:ワーク・エンゲージメント
仕事関係に限定。▼活力、情熱、没入など
4:心理的健康職場
①健康職場施策
・WLB,成長育成
・健康安全
・承認
・巻き込み
②従業員ウェルビーング
・身体的精神的健康
・ストレス、満足、コミットメント、モチベーション
・モラール・風土
③組織の改善
・業績、生産性
・事故・負傷率
・コスト削減
・製品・サービス品質、顧客満足
①が②と③を促し、②が③を促す。ウェルビーイングを職場全体の問題と捉え業績と健康の両立を促す考え方。
そして、5つの施策として、
・健康と安全
・WLB
・巻き込み
・成長と育成
・承認(評価、報酬)
があげられている。
4章では、ウェルビーイング経営を実施するに当たり、
・参考事例がない
・成果が測れない
・参加者がいない
という3つの問題が指摘されている。
そして、先進事例から学ぶ際には、表面的な模倣ではなく、施策推進者の思想、狙いや(仮説)や、仮説が成り立つ論理を理解すること、
結果だけでなく、失敗も含めたプロセスに注目して学ぶことが推奨されている。
▼感想・論点
JD-Rモデルでは、課題多様性、自己裁量が資源とされている。
これらは人によっては要求度を高めると捉えるかもしれない。
課題多様性、自己裁量は職務特性理論においてもモチベーターとされており、
当時は2次産業が今よりも中心的だったことが影響しているかもしれない。
また、欧米における個人主義的価値観が影響していそうだ。
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